バイクとレザーII
1935年、東京。
日中事変の起こる2年前のこの年に、
浅草にとある皮革専門店ができました。
1929年10月24日の「暗黒の木曜日」すなわち世界恐慌の発生から6年後のことです。
実は日本は欧米諸国に比べ、
この世界規模の経済危機からは割りと早くに立ち直っておりました。
第一次大戦後の不況、関東大震災、昭和恐慌と日本経済はとっくにどん底だったため、いまさら感でもあったのでしょうか。
ともあれ混乱は3年後の1932年には一応の収束を見せ、
景気も徐々に回復へ向かおうとしていたようです。
もっともいまだ危機的状況にある欧米との貿易摩擦が顕著になり、
堆積した諸々の問題は燎原の火となって戦争という最終手段へと日本を追いやることになります。
全力でバイクの話題から遠ざかっているのでUターンをキメましょう。
ともあれ1935年、比較的国内経済の立ち直ったこの時期に、東京は浅草に皮服専門店ができました。
皮製品のオーダーメイドや修理、
染め替えなどを専門にした職人気質あふれるその店の名前は、カドヤ皮服店。
バイク乗りならまず知っているであろう、あのKADOYAの前身です。
1935年はバイクでいえば、ようやく国産車が増えてきた頃合い。
ハーレーとのライセンス契約により生まれた陸王シリーズの全盛期でもあります。
この頃カドヤがバイクに対してどのようなスタンスでいたかは不明ですが、
すぐに国をあげての戦争状態に突入してしまったため、
論ずるに術のない状況になってしまったとみていいでしょう。
時は流れて1975年。
40年ほどすっ飛ばしていますが、よくあることです。気にしない。
1975年といえば、日本は高度成長期を終え、第一次オイルショックを食らったところです。
景気自体は敗戦直後とは比べ物にならないほど良くなっています。
別の国かと思うほど。この年には今の我々にも身近ないくつかの会社が設立されています。
たとえばローソン。たとえばマイクロソフト。ドラクエのエニックスもこの年ですね。
そしてカドヤ皮服店はモーターサイクルの分野へと参入したのでした。それでは続きは次回ということで。
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